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平成13年5月25日 地球惑星科学教室談話会 レジュメ
雲は地球を揺らすか --- 解決編 ---
1996 年の秋に九大で行われた日本惑星科学会で東工大の小林が「大気擾乱による固
体惑星の振動」というポスター発表を行い、大気の熱対流が固体惑星の自由振動を持
続的に励起し得ること、そして、そのような持続的励起が近年の観測技術によって検
出可能であることを予言した。このポスター見た私自身の印象は、いくつか受け入れ
難い議論を含んでいたこともあって「そんなばかな」というものであった。しかし、
その後の数年の間に、超伝導重力計、長周期地震計のデータの解析によって、地震学
的に静穏な時期にも微弱な地球自由振動が生じていることが明らかになり、しかもそ
の振幅が季節変動していることから、励起源として大気擾乱が注目されるに至っている。
というわけで、大気擾乱が地球を揺らしていることは、どうやら確立した感がある。
しかし、励起源として想定されている熱対流は、地球大気においては水の凝結を伴う
「雲対流」が圧倒的な役割を果たすために、小林が最初に想定した程度の強度で生じ
ているとは考えらない。また、谷本らが別個に提唱した理論でも、強い強度の3次元
乱流が想定されており、大気科学的な常識とは相容れないつまり、気象学的には、持
続的自由振動の励起源の問題は実は全く解決していないのである。
この談話会では、気象学的に見て主役である積雲が、この問題においてもやはり主役
をしめるのではないか、という仮説について論証を試みる。実はこの問題は、地球の
内部構造から超高層大気の温度成分構造に至るまでの広い範囲の情報が関係する学際
的なものであり、ここ数年検討を行ってきた私自身の理解も不十分である個所が多々
あると考えられる。出席される方々からの忌憚の無いコメントをお願いしたい。
Kensuke NAKAJIMA
Last modified: Wed Jun 3 21:31:25 JST 2009